筆者は2023年6月にGoogle IT Support Certificate (ITサポート認定資格)を取得しました。コース名の通りのITサポート職のみならず、エンジニアを目指す方にもお勧めの資格です。下記は筆者が実際に取得した資格の認定証です。本稿ではGoogle ITサポート認定資格の概要、認定取得するメリット、認定資格コースの欠点、コースの詳細をご紹介します。
Courseraの発行する資格認定証

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Credlyの発行するバッジ

Google ITサポート認定資格の概要
Google ITサポート認定資格は、Googleが制作したプログラムで全てがオンラインで完結するCoursera上で提供されています。講師は全てGoolgleの社員ということもあり、非常に実践的な内容です。またこの認定資格は、未経験者が資格取得後にすぐにIT業界で働くことを目標にしていることから、大学の単位のような講義・テスト・レポートのみならず、実際にリモートのWindowsサーバーやLinuxサーバーの環境が提供され、その中で学んだ内容を実践する実務直結型の演習も豊富です。この点が、実践的とは言い難い日本の基本(応用)情報処理技術者試験との大きな違いです。以下、概要です。
名称 | Google ITサポート認定資格 |
リリース日 | 2018年1月 |
費用 | 7日間の無料トライアル後、月額49ドル |
プログラムの期間 | 約6ヶ月(毎週10時間程度の勉強時間) |
コース概要 | 1. Technical Support Fundamentals 2. The Bits and Bytes of Computer Networking 3. Operating Systems and You: Becoming a Power User 4. System Administration and IT Infrastructure Services 5. IT Security: Defense Against the Digital Dark Arts |
累計受講者数 | 128万人(2023年6月現在) |
前提知識 | 不要。但し講義を理解してレポートを書ける英語力は必要 |
認定証 | Courseraの発行する資格認定証 Credlyの発行するバッジ |
就職・転職サポート | 資格取得後は、Googleもその運営を支援する CareerCircleという米国のIT企業の転職プラットフォームに登録可 無料で転職・就職支援を受講可能 |
その時の為替レートの影響も受けるかもしれませんが、私が受講した期間は5,031円でした。
本認定資格を取得するメリット
本資格を取得するメリットと付随するメリットは次の通りです。
- 現場ですぐに使える実践的なスキルが得られる
- NorthTexas大学とLondon大学のComputer Science学部で単位認定される
- Googleも運営を支援するCareerCircleという米国のIT企業の転職サービスに無料登録可
- 英語の勉強を同時にできる
付随するメリット
- 途中でやめて再開できる
- 7日間無料トライアルが可能
実践的なスキル
前の章でも書きましたが、本講座の最大のメリットは内容が実践的である点です。インフラ、ネットワーク、OS、セキュリテイーに関する座学講義がGoogleの講師による実践的な内容であることに加えて、リモートのWindowsサーバー、Linuxサーバーを使った演習が用意されています。
Computer Science学部での単位認定 – アカデミックな質的担保
CourseraやEdxなどのオンライン学習プラットフォームで提供される講座では、大学(院)の単位認定が得られる講座が少なくないですが、そのような講座の大部分は大学(院)の教授が講師の大学の講義そのもので、必ずしも実践的とは言えません。本コースは、講師が全員Googleのエンジニアで実践的な内容でありながら、North Texas大学とロンドン大学のコンピューターサイエンス学部で、単位認定されており、アカデミックな質的担保があります。
CareerCircleへの登録
CareerCircleはGoogle, Salesforce, Adobeなど米国のテック企業150社以上が登録する転職プラットフォームです。ただの人材紹介サービスではなく、人材を雇用したい企業側がCareerCircleと提携して専用の研修プログラムを提供している点が最大の特徴です。Google IT Support認定資格のそのうちの一つです。
英語の勉強も同時にできる
本コースは講義・テスト・レポートが全て英語ですので、大学院への進学あるいはキャリアップに備えた英語の勉強をすることもできます。
付随するメリット – 途中でやめて再開できる
本コースは5つに分かれていますが、1つのコースを終える都度、修了証が発行されます。全てを一気にやり切る自信が場合には、途中でやめて再開することも可能です。私のオススメは3つ目のOperating Systems and Youです。1-3をセットにして学んでいったん終えて、やや難易度の上がる4つ目と5つ目を後回しにすることもできます。
付随するメリット – 7日間無料トライアルが可能
Courseraのコースには全て7日間の無料お試し期間があります。学生さんが夏休みを利用して受ける場合などには、7日間無料トライアル期間をめいいっぱい使っていけるところまで行き、無料トライアル期間が終わったところでいったん終えるということも可能だと思います。動画は倍速で聞けます。
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本認定資格コースの欠点
本認定資格はコンピューターサイエンスの基礎を理論・実践の両面で網羅的に学ぶことができますが、Data Structure and Algotirhms(アルゴリズムの基礎とデータ構造)と、Principles of Programming Languages(プログラミング言語の原理)はコースに含まれていないので、ITサポート職ではなく、エンジニアを目指す場合は他の講座で補う必要があります。
本認定資格コースの詳細
本資格は5つのコースに分かれています。それぞれのコースは、動画講義、5問~10問の小テスト、サーバー演習、レポートで構成されています。
1.Technical Support Fundamentals
1つ目の本コースは、全体の基礎と位置付けられており、コンピューターハードウェア、インターネット、コンピューターソフトウェア、トラブルシューティング、カスタマーサービスなど、エンジニアのさまざまな側面について学びます。具体的には次のような6つのモジュールに分かれています。
- Introduction to ID:バイナリーシステムの動作を理解する
- Hardware:コンピューターを一から組み立てる
- Operating System:コンピューターにオペレーティングシステムを選択し、インストールする
- Networking:インターネット概要・機能・役割
- Softwareアプリケーションがどのように作成され、動作するか学ぶ
- Troubleshooting:一般的な問題解決の方法論とソフトスキル
このコースで最も印象的だったのはHardwareです。CPU、RAM、ストレージなどについて詳しく学んだ後に、自作PCを組み立てる演習があります。

2.The Bits and Bytes of Computer Networking
このコースでは、ネットワークについて深く学びます。現代のネットワーキング技術とプロトコルの基本から、クラウドの概要、実用的なアプリケーション、ネットワークのトラブルシューティングまで、広範にカバーしています。具体的には次のような6つのモジュールに分かれています。
- Introduction to Networking: TCP/IPモデルとOSIネットワークモデル
- The Network Layer:ネットワークレイヤーその標準プロトコル
- The Transport and Application Layers:TCPについて深く学ぶ
- Networking Services:DNS、DHCP、VPN、WAN、Wifiなどについて学ぶ
- Connecting to the Internet:クラウドコンピューティング、クラウドストレージを理解する
- TroubleShooting and the Future of Networking:トラブルシューティングのツールと手法
下記は、本コース演習の一部です。Wifiのチャンネルを設定する実践的な内容です。

3.Operating Systems and You: Becoming a Power User
このコースでは、カーネルなどOSの基本的な構成、ソフトウェアやユーザーの管理、ハードウェアの設定といった重要なタスクの実行方法について学びます。具体的には次のような6つのモジュールに分かれています。
- Navigating the System:GUI及びコマンドラインを通じてWindowsとLinuxを操作する
- Users and Permissions:ユーザー、グループ、権限を設定する
- Package and Software Management:OS上でソフトウェアをインストール、設定、削除する
- Filesystems:ディスクパーティションとファイルシステムの設定
- Process Management:システムプロセスの動作と管理を理解する
- Operating Systems in Practice:仮想環境の構築、OSのトラブルシューティング
本コース以降のコースでは、WindowsとLinuxサーバーを使った演習があります。下記はLinuxの例です。左側がターミナル画面、右側に課題の説明が表示されます。

下記は本コースのLinuxコマンドに関する小テストの例です。

本コースでは他にもVirtualBoxを使ってWindowsの上にUbuntuの仮想環境を構築する演習や、主要なLinuxコマンドを学ぶコースもありました。5つのコースの中では、最もオススメのコースです。仮想環境の構築や、Linuxのコマンドを実環境で体験できるコースは貴重です。先ほど紹介したように本稿で紹介の5つのコースを全てをとらず、このOperating Systems and Youだけを履修することもでき、修了証も発行されます。
4.System Administration and IT Infrastructure Services
このコースでは、一台のコンピューターからネットワークに接続された多くのコンピューターまでの管理方法を学びます。システム管理は、マルチユーザー環境でシステム全体の信頼性を維持するために重要です。本コースについてはクラウドについても深掘りし、典型的なクラウドインフラの設定から、リソースの管理方法まで理解できます。その他、サーバー管理と設定方法、コンピュータ、ユーザー情報の管理、災害時に復旧についても学べます。具体的には次のような6つのモジュールに分かれています。
- What is System Administration:組織にとって最適なハードウェア、ベンダー、サービスの選択
- Network and Infrastructure Services:一般的なインフラの構成と管理
- Software and Platform Services:代表的なWebサーバー、メールサーバー、クラウドについて
- Directory Services:ディレクトリサービス、Active Directory、OpenLDAPについて学ぶ
- Data Recovery & Backups:バックアップとリカバリーの方法
- Final Project:ITサポートの実践ロールプレイング
本コースでの動画の切り抜きを2つご紹介します。下記の上段はロードバランサーの部分、下段はRBAC(ロールベースアクセス制御)についての動画の一部です。


5.IT Security: Defense against the digital dark arts
最後のこのコースは、ITセキュリティの概念、ツール、ベストプラクティスなど幅広い範囲をカバーしています。実際の脅威や攻撃の手法、暗号化のアルゴリズム他、情報セキュリティの三つのA、すなわちAuthentication、Authorization、Accountingについて深掘りします。また、ファイアウォールからWiFiの暗号化オプションに至るまでのネットワークセキュリティソリューションもカバーします。最後は、これらすべての要素を組み合わせ、組織のセキュリティアーキテクチャーを構築する課題があります。
本コースは7つのモジュールで構成されます。6つ目のモジュールを終えた時点で認定証が発行されます。最後の7つ目のモジュールでは、先ほどご紹介したCareerCircleへの登録方法、IT転職でのレジュメの書き方、面接のコツなどについて学ぶことができます。
- Understanding Security Threats:リスク、脅威、脆弱性の定義と検知
- Cryptology:さまざまな暗号化アルゴリズム
- The 3 A’s of Cybersecurity:各種の認証システムとタイプ、認証と認可の違い
- Securing Your Networks:潜在的なリスクの評価とその低減方法
- Defense in Depth:ネットワークを保護するためのベストプラクティス
- Creating a Company Culture for Security:組織にセキュリティーの文化を浸透させる
- Prepare for Jobs in IT Support:ITでのキャリア形成、セルフブランディング、レジュメ、面接
下記はSingle Sign Onの仕組みについて解説している部分の動画です。

申込み方法
Courseraの本コースのホームページに飛ぶと、オンラインで簡単な登録を済ませた後にすぐに受講が可能です(7日間無料)。
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